建設DX×AI活用の最新像:日報・写真・周知・点検の“自動化”はどこまで来た?

建設・住宅設備

記事の要点(3行まとめ)

【トレンド】:Arentの調査では、建設業界のDX推進は「実行段階」にある企業割合が2025年に69.2%で高水準を維持し、取り組み内容でもAI活用が伸長しています。
【メリット】:複数社の発表で、写真から日報を自動生成する機能や、工程表連動の写真整理、周知動画の生成、ドローン×AI点検など“記録・共有・点検”の自動化が具体サービスとして示されています。
【重要性】:国交省の「i-Construction 2.0」は、2040年度までに省人化を少なくとも3割(生産性1.5倍)を目標に掲げ、3本柱としてオートメーション化を明記しています。


建設現場では、日報・写真整理・安全教育や施工手順の周知・点検といった業務が日々発生します。近年は、こうした現場業務を支えるサービスとして「AI(画像解析・生成AI)」「クラウド」「遠隔化」が前提のプロダクト発表が相次いでいます。
また制度面では、厚労省が示すとおり、建設業でも2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。

本稿は、指定のプレスリリースおよび公的資料に明記されている内容のみを、第三者視点で整理し直した解説です。


【Q】いま現場で起きている「建設DX×AI活用」の変化とは?

1)DXは“実行段階”が約7割、AI活用が伸長(Arent調査)

Arentは、建設業界従事者を対象に、2025年1月〜12月にイベント現地アンケートを実施し(有効回答数411件)、DX推進に関する調査結果を公表しています。
同社発表では、DX推進が「実行フェーズ」(実施済み・実施中・試用期間中の合計)にある企業割合は、2025年に69.2%と高水準を維持したとされています。
また具体的な取り組みとして、BIM活用(33.1%)が首位である一方、AI活用が伸長した旨が示されています。

2)国交省は「i-Construction 2.0」で“オートメーション化”を3本柱に

国交省は「i-Construction 2.0」を取りまとめ、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割(生産性1.5倍)を目指すと明記しています。
同資料では、3本柱として「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」を挙げています。

3)関連用語:BIM/CIMは“情報のデジタル化・共有”を前提にした枠組み

BIM/CIMポータルサイトでは、建設事業で取り扱う情報をデジタル化し、調査〜維持管理の各段階で受発注者のデータ活用・共有を容易にし、建設生産・管理システムの効率化を図るものとして説明しています。
同サイトは、活用内容に応じたモデル範囲・精度が重要であり、過度に精密なモデル作成が目的化しないよう注意が必要とも記載しています。


【Q】導入すると現場はどう変わる?(具体的なメリット)

ここでは、各社・各機関が公表している内容を「現場業務別」に整理します(効果は、各資料が示す範囲に限定します)。

1)日報:写真を起点に日報文章を自動生成(BRANU)

BRANUは、建設業向け統合型ビジネスツール「CAREECON Plus」の施工管理機能に「AI日報」を実装したと発表しています。
同社説明では、施工前・施工後の写真をアップロードすると、画像認識AIが変化を解析し、その解析結果をLLMが踏まえて日報文章を生成する、とされています。
同リリースには、スマートフォン操作、案件掲示板への展開、AIチャットによる修正(テキスト・音声)に関する記載があります。
また同社は、1人あたり1日約30分の業務時間削減が期待されるという試算と、前提条件(従業員10名、月20営業日、時給等)および「効果は運用状況により異なる」旨を記載しています。

2)写真整理:工程表連動でフォルダ生成・保存先提案、文字情報で検索(ARCRA)

ARCRAは、那須建設と共同で、写真/工程管理アプリ「ConPhoto Box」の開発開始を発表しています。
同リリースには、写真に写った黒板等の文字を読み取り、文字データを保存することで検索を可能にする旨、工程表データをアップロードして連動させることでフォルダを自動生成し保存先を提案する旨、天気や温度データを活用して撮影状況から進捗判断等を行う旨が記載されています。
また、現場写真は撮影後にフォルダを分けて手作業で保存・整理する管理が一般的であること、写真整理や進捗に合わせたスケジュール管理が負担になっていることが、同リリース内で課題として述べられています。

3)教育・周知:資料や文章から周知動画を生成しURLで配布(WriteVideo/株式会社X)

株式会社Xは、AIナレーション付き動画生成サービス「WriteVideo」で、建設現場向けに「建設向け画像パック」を提供開始すると発表しています(2025年12月17日公表)。
同リリースでは、現場条件の変化や協力会社の入れ替わり等でルール・手順の更新が多く、紙の通達や朝礼での口頭説明に依存すると、同内容が行き渡りにくい・解釈が分かれる・教育が属人化しやすいといった問題が起きやすい、と記載されています。
また、WriteVideoは「文章入力または資料アップロード」をもとにAIナレーション付き動画を作成し、URLで共有できるクラウドサービスである旨が説明されています。
「建設向け画像パック」については、PPE(保護具)・危険箇所・立入禁止・重機周辺等の頻出テーマの挿し絵を収録し、編集画面の「画像パック」から選んで挿入できる、と記載されています。

4)BIM/CIM:施工状況データを属性情報として連携し、一元管理(イクシス)

イクシスは、施工状況データ連携サービス「CIM×GENBAシリーズ」をリリースしたと発表しています。
同リリースでは、タイムラプス動画や360度映像などの施工状況データをBIM/CIMに属性データとして直接連携し、一元管理することで、計画と実績の差異を把握できる旨が説明されています。
また同リリースでは、本サービスの対象が「イクシスで対応したBIM/CIMデータおよびGENBAシリーズのデータ」に限られる旨が記載されています。

5)点検:ドローン撮影+AI解析で点検〜報告書作成まで(デルタ電子)

デルタ電子は、ドローンとAIを活用したインフラ点検ソリューション「SKYINSPECT AI」の国内販売開始を発表しています。
同リリースでは、橋梁やソーラーパネル等を対象に、飛行計画の立案から3Dモデリング、異常検出、報告書出力までをワンストップで行うクラウド型総合管理システムである旨が説明されています。
また、Visual SLAMによりGNSSが届きにくい環境でも自律飛行・点検が可能と記載されています。

6)立会・検査:遠隔臨場/リモート検査の制度整備(国交省)

国交省は、直轄土木工事における「遠隔臨場」を令和4年度から本格実施すると発表し、試行の結果として令和2年度760件、令和3年度約1,800件と普及が進み、移動時間や待ち時間短縮等の効果が確認されたとしています。
また国交省は、建築基準法に基づく完了検査等について遠隔実施の運用指針を公表し、受検側・検査者の移動時間削減、検査者の1日当たり検査個所数増などにより、生産性向上や働き方改革に資することが期待されると記載しています。


【独自考察】よくある失敗と「つまずきポイント」

つまずき1:障壁の焦点が「人材不足」だけでなく「ノウハウの属人化」「データ連携・整理」にある(Arent調査)

Arentの調査では、懸念点・障壁として「DX人材不足」が最多である一方、「ノウハウの属人化」が上昇して懸念事項の上位にある旨が示されています。
また社内システムの課題として「データが整理されていない」「データ連携が困難」が上位である旨も記載されています。

つまずき2:日報は運用が複数あり、負担の要因が整理されている(BRANU)

BRANUは、日報作成が紙・Excel等複数の方法で行われており、紙は確認・整理・転記に手間、Excel等はPC入力のため会社に戻る必要がある、と背景として記載しています。

つまずき3:写真は“撮影後の手作業整理”が負担として挙げられている(ARCRA)

ARCRAは、撮影後にフォルダを分けて手作業で保存・整理する管理が一般的であり、大量写真の整理や進捗に合わせた管理が負担になっている旨を課題として記載しています。

つまずき4:周知は「同内容が行き渡らない」「解釈の分かれ」「教育の属人化」が問題として列挙されている(WriteVideo)

株式会社Xのリリースでは、紙の通達や口頭中心の説明に依存すると、元請〜協力会社まで含めて同じ内容が行き渡りにくい、改訂点の解釈が分かれて運用が揃わない、教育が属人化しやすい、という問題が起きやすいと記載されています。

つまずき5:BIM/CIMは「過度に精密なモデル作成が目的化しない」注意が明記されている(BIM/CIMポータル)

BIM/CIMポータルサイトには、活用内容に応じたモデル範囲・精度が重要であり、過度に精密なモデルを作ることが目的にならないよう注意が必要と記載されています。


成功へのファーストステップ

  • AI日報(BRANU/CAREECON Plus):施工前・施工後の写真アップロードを起点に日報文章を生成し、案件掲示板で共有できる旨が説明されています。Standardプラン利用者向けにアプリ上で提供し、ベータ版である旨が記載されています。
  • ConPhoto Box(ARCRA):工程表データのアップロードと連動、写真内文字の読み取り・保存による検索、フォルダの自動生成・保存先提案などが機能として列挙されています。
  • WriteVideo(株式会社X):文章入力または資料アップロードを起点にAIナレーション付き動画を作成し、URLで共有できる旨が説明されています。画像パックは編集画面から選択して挿入できる旨が記載されています。
  • CIM×GENBAシリーズ(イクシス):施工状況データをBIM/CIMへ属性データとして直接リンクし、一元管理する旨が説明されています。対象データの範囲(イクシス対応のBIM/CIMおよびGENBAシリーズ)が明記されています。
  • SKYINSPECT AI(デルタ電子):ドローン撮影とAI画像解析を組み合わせ、飛行計画〜報告書出力までをクラウドで扱う旨が説明されています。
  • 遠隔臨場/完了検査等の遠隔実施(国交省):直轄土木工事の遠隔臨場の本格実施(令和4年度〜)および試行実績・効果、建築の完了検査等の遠隔実施に向けた運用指針の公表が、それぞれ記載されています。

参考・関連リンク

  1. 企業名:株式会社Arent
    タイトル:【第3回Arent調査① DX編】建設業界のDX推進、「実行フェーズ」が定着…
    URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000063436.html
  2. 企業名:BRANU株式会社
    タイトル:CAREECON Plus 施工管理機能に「AI日報」が登場
    URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000031431.html
  3. 企業名:株式会社ARCRA
    タイトル:建設現場の写真/工程管理アプリ「ConPhoto Box」の開発開始
    URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000132533.html
  4. 企業名:株式会社X(WriteVideo)
    タイトル:安全ルール・施工手順の改訂を動画で統一周知/建設向け画像パック
    URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000195.000081404.html
  5. 企業名:株式会社イクシス
    タイトル:施工状況データ連携サービス「CIM×GENBAシリーズ」をリリース
    URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000044685.html
  6. 企業名:デルタ電子株式会社
    タイトル:インフラ点検ソリューション「SKYINSPECT AI」発売開始
    URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000086.000023563.html
  7. 省庁:国土交通省
    タイトル:「i-Construction 2.0」を策定しました
    URL:https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001085.html
  8. 省庁:国土交通省
    タイトル:建設現場における「遠隔臨場」を本格的に実施します
    URL:https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000881.html
  9. 省庁:国土交通省
    タイトル:完了検査等の遠隔実施に関する運用指針
    URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000149.html
  10. 公的サイト:BIM/CIM ポータルサイト(国交省関連)
    タイトル:BIM/CIMの概要
    URL:https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/about_bimcim.html
  11. 団体:日本建設業連合会(日建連)
    タイトル:建設労働(建設業就業者の年齢構成 等)
    URL:https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html
  12. 省庁:厚生労働省
    タイトル:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制
    URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html

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