【AI活用事例】祖父の代から続く工業用洗剤メーカー「ニューサンライト株式会社」が実践する、生成AIを用いた配合計算と業務効率化

その他製造業

記事の要点(3行まとめ)

  • 【事業概要】 1973年創業、祖父の代から続く工業用洗剤メーカー。現場の汚れに合わせた「1レシピ」からのオーダーメイド開発が強み。
  • 【AI活用】 ClaudeやChatGPT、Gammaを活用し、リサーチや複雑な洗剤配合の計算を自動化し、大幅な業務時間短縮を実現。
  • 【現場のリアル】 プロンプトのノイズによる計算ミスやAIのハルシネーション(過剰回答)など、失敗と試行錯誤を通じてノウハウを蓄積。

1. 事業概要と強み:現場の汚れに寄り添う「1レシピ」からのカスタマイズ

ニューサンライト株式会社は、1973年の創業から約50年間、祖父の代から3代にわたり工業用洗剤などの製造販売を行っている企業です。当初は墓石など石材のクリーニング洗剤から始まりましたが、現在では木材や精密機械の洗浄液、自分で施工できる防滑剤、さらには下水処理施設の汚泥を減らす微生物事業まで、幅広く事業を展開しています。

同社の最大の強みは、市販品では落ちない汚れに対し、お客様の現場の悩みに寄り添い「1レシピ」から開発・製造ができる点です。製品はすべて自社工場で製造しており、中性の洗剤は作らず、酸性かアルカリ性かをはっきりさせた、泡立ちはしないものの確かな洗浄力を持つ業務用製品を提供しています。その実力は高く評価されており、山崎製パンの全国工場でトップダウンにより防滑剤が採用された実績や、ホームセンターに並ぶようなBtoC向けの有名洗剤メーカーからもBtoB用として製品の製造を頼まれるほどです。

2. 製造現場における生成AIの活用(成功事例)

現在12〜13名体制の同社では、業務効率化や新製品開発のために生成AIを積極的に導入しています。メインで使用しているのは「Claude(有料Proプラン)」で、必要に応じて無料の「ChatGPT」を検証用に併用、さらにプレゼンテーション資料の自動生成には「Gamma」を活用しています。

具体的なAI活用業務は以下の通りです。

  • マーケットリサーチと仕入先調査:新製品開発時に、使用したい原材料の最適な仕入れ先をAIに調査させています。
  • 配合の妥当性確認:自社で考案した新しい洗剤の配合が現実的であるかどうかをAIに相談しています。
  • 製造時の配合計算(割合・重量計算):1つの製品を作る際に使用する7〜15種類の原材料について、「全体で2トン作る場合、各原材料を何kgずつ入れればよいか」という複雑な計算を自動化しています。

以前はノートに書き出して電卓で計算していましたが、AIを活用することで計算スピードが劇的に向上し、確実な時間短縮と業務効率化に繋がっています。

3. AI活用の失敗例と教訓:現場のリアルな試行錯誤

「mirAI news」では、AI導入のきらびやかな成功事例だけでなく、試行錯誤や失敗のプロセスも誠実にお伝えしています。ニューサンライト株式会社でも、AI活用においていくつかの失敗を経験しています。

  • 指示のノイズによる計算ミス:複雑な計算をAIに指示する際、プロンプト(指示文)に余計な要素(ノイズ)を2〜3個入れてしまった結果、AIの計算機能が正常に働かなくなるトラブルが発生しました。
  • 求めていない拡張的な回答:シンプルな答え(例:「1+1=2」という端的な回答)を求めているにもかかわらず、現在のAIの傾向として探索的・拡張的な回答をしてしまい、不要な情報まで出力されてしまうことが増えています。

これらの経験から、AIを現場の道具として使いこなすためには、的確でシンプルな指示出しが重要であることが分かります。

4. 今後の展望

今後の展望として、同社は現在の規模から50人〜100人規模の中小企業への成長を目指しています。「自分たちの手で開発し、良いものしか売らない」という先代からの強い自負を持ち、中途半端な製品は世に出さないという姿勢を貫いています。今後は、より多くのお客様の手元に製品を届け、人々が抱える汚れや現場の悩みを解決する存在になりたいと語っています。


【編集者後記】 AIAM mirAI news編集部です。AI分野で世界競争が激化する中、日本の最大の強みは「現場力」にあります。今回のニューサンライト株式会社様の取材を通じて、祖父の代から受け継がれるモノづくりへの強いこだわりと、最新テクノロジーである生成AIを「道具」として柔軟に使いこなす姿に感銘を受けました。AIの計算ミスや過剰回答といったリアルな躓きを経験しながらも、業務効率化を推し進めるプロセスは、同じように人手不足や技術継承に悩む多くの製造業にとって勇気を与えるユースケースになるはずです。AIと現場の職人技の融合による、日本の製造業のさらなる飛躍を期待しています。

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