- 先週、AIニュースを追う編集長として、少し動揺した動画を見た。
その動画で取り上げられていたのは、2026年5月に開かれたGoogle Marketing Live(GML2026)の衝撃的な発表内容だ。これまで人間が企画・制作・入稿してきた広告クリエイティブを、Geminiがユーザーひとりひとりのリアルタイムな文脈を読み取り、そのユーザーだけのために一から自動生成するという。バナーも、コピーも、動画も。すべて瞬時に、自動で。
番組の中では「マーケターの仕事が5年で8割消滅する」という言葉まで飛び出した。
広告・マーケティング業界にとってはまさに青天の霹靂だ。キーワード選定、クリエイティブ制作、ABテスト、入稿管理——これまで専門スキルとして積み上げてきた仕事が、次々とAIに代替されようとしている。
だがここで、少し立ち止まって考えたい。
「消える仕事」があるということは、「浮き上がってくる価値」があるということでもある。
広告とは本来、何か良いものを持っている人が、それを必要としている人に届けるための”橋”に過ぎない。その橋の建設工事がAIに任せられるようになったとき、問われるのは「何を、誰に届けるか」という本質的な問いだ。
そしてその問いに、もっとも正直に答えられるのは、実はモノを作っている人たちではないか。
製造業はこれまで、「良いものを作ることには長けているが、伝えることが苦手」と言われてきた。広告代理店に頼み、マーケターに委ねるしかなかった。予算が潤沢でなければ、大手に埋もれるだけだった。
しかし今、その構図が変わろうとしている。
かつては広告代理店に丸ごと委ねるしかなかったクリエイティブ制作が、AIを使えば自社でたたき台を作り、代理店と対等に議論しながら磨き上げられる時代になった。
つまり**「伝える力」の民主化**が、今まさに起きているのだ。
技術力と品質という、製造業が長年磨いてきた「本物の価値」を持っている企業が、広告代理店に”丸投げ”するのではなく、自社の強みや想いを起点に戦略を組み立て、代理店をパートナーとして活用できる時代。これは脅威ではなく、製造業に訪れた、かつてないチャンスだと私は思う。
AIが広告を飲み込む時代、生き残るのは「作業者」ではなく「価値の源泉を持つ者」だ。
モノを真剣に作り続けてきた製造業の人たちに、声を大にして伝えたい。
あなたたちの番が、来た。