シミュレーションソフトの開発工数、生成AIで3分の1になるか?NGKとLaboro.AIの検証

その他製造業

記事の要点(3行まとめ)

【トレンド】:NGK株式会社とLaboro.AIが、生成AIを使って科学技術計算シミュレーションのプログラムを自動生成する開発手法を共同で構築し、人間の実装負担を従来比3分の1程度に削減できる見通しを得たと発表しました。

【メリット】:開発ルールとベースコードを適切に与えることで、生成AIが勝手な簡略化や誤解釈をせずに正確なプログラムを生成できることが確認されており、開発者が理論や数式の検討・結果の解釈といった本質的な技術作業に集中できるようになるとしています。

【重要性】:NGKはこの手法を有機化合物の結晶形予測ソフトウェア開発に適用し、製薬分野などで重要な結晶構造の析出条件予測を迅速に機能拡張することを目指しています。

「シミュレーションソフトを開発したいが、プログラムの実装に時間がかかりすぎる」「専門の技術者が数式の検討よりコーディング作業に追われている」——製造業のR&D現場では、こうした状況が開発スピードの足を引っ張ることがあります。

今回の検証は、生成AIにプログラム実装の大部分を任せることで、その状況をどこまで改善できるかを試したものです。

【Q】いま現場で起きている「生成AI×シミュレーション開発」の変化とは?

NGKが提供する有機化合物結晶探索サービスでは、同じ化合物成分でも析出条件が違うと異なる結晶構造を作り分けることができます。結晶構造の違いは溶解性・安定性・成形性などに影響し、特に製薬分野では重要な検討要素となっています。

ただし、様々な結晶形を得るためには温度・濃度・赤外線照射条件など多数のパラメータの組み合わせを検討する必要があり、実験だけで網羅的に検証することは難しいため、シミュレーションによる事前予測で条件を絞り込む方法が求められています。

従来このようなシミュレーションソフトの開発は人手による実装・検証が中心で、プログラムミスのリスクと開発期間の長期化が課題でした。両社はこの課題に対して生成AIによるプログラム自動生成という手段を検証しました。

【Q】導入すると現場はどう変わる?(具体的なメリット)

今回の検証では、数式・条件・制約を人間が理解できる形式で文書化し、それらを生成AIに入力することで大規模な数値計算プログラムを正しく生成できるかを評価しました。

結果として、守るべき開発ルールと手本となるベースコードを適切に与えることで、生成AIが勝手な簡略化や誤解釈をすることなく正確なプログラムを生成できることが確認されました。また、汎用的なコーディングエージェント(自然言語の指示でコード生成・修正・テスト・デバッグを自律的に行うAIシステム)がプログラム実装の大部分を担うことができ、人間の負担を従来の3分の1程度に削減できる見通しが得られています。

この結果により、開発者は理論や数式の検討・結果の解釈といった本質的な技術作業により多くの時間を使えるようになるとしています。NGKは今後この手法を結晶形予測ソフトウェアの開発に適用し、顧客ニーズに応じた機能拡張を迅速に進める方針です。

【独自考察】よくある失敗と「つまずきポイント」

生成AIにプログラム生成を任せる手法で注意が必要なのは、「適切な開発ルールとベースコードを与える準備」が前提になるという点です。

今回の検証でも、守るべき開発ルールと手本となるベースコードを適切に与えることが正確な出力の条件として確認されています。この準備が不十分な状態で生成AIに任せると、一見動作するように見えても物理的に誤ったプログラムが出力されるリスクがあります。特に科学技術計算では、計算上の微細な誤りが結果に大きく影響するため、出力されたコードの検証プロセスを省略できません。

また、今回の検証は特定の物理化学シミュレーションを対象としたものです。自社のシミュレーション開発に応用できるかどうかは、対象とする物理現象・数式の複雑さ・既存コードベースとの整合性によって異なります。「3分の1」という数値はこの特定の検証での見通しであり、すべてのシミュレーション開発に同じ効果が出るとは言えません。

【Q】どこから始めればいい?(迷ったときの進め方)

まずは、次の順にチェックすると迷いにくいです。

1. 自社のシミュレーション開発で「コーディング作業に時間を取られている工程」を洗い出す:数式・条件・制約が明文化できる領域かどうかを確認することが、生成AI活用の適性判断の起点になります。

2. 開発ルールとベースコードを整備できるかを技術担当者と確認する:生成AIへの入力品質が出力精度を左右するため、まずこの準備が成立するかを確認します。

3. NGKの有機化合物結晶探索サービスとの接点を確認する:製薬・化学分野で結晶形予測が必要な業務がある場合、今後のサービス展開情報の確認が参考になります。NGK公式サイト

4. Laboro.AIへの問い合わせで自社への応用可能性を確認するLaboro.AI公式サイトからカスタムAI開発に関する相談ができます。


参考・関連リンク

1. NGK株式会社・株式会社Laboro.AI: 生成AIを活用した科学技術計算シミュレーションソフトウェア開発手法を共同構築(PRTimes)

2. NGK株式会社: NGK公式サイト

3. 株式会社Laboro.AI: Laboro.AI公式サイト

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