記事の要点(3行まとめ)
【トレンド】:建設用挟締金具を製造する中小メーカーが、外部の生成AI顧問のサポートを受けながら、荷札作成や検収書処理といった現場の事務作業の見直しを進めています。
【メリット】:荷札作成の工数が90%削減され、IT機器調達の見積もりについても約10万円のコスト見直しにつながったとされています。
【重要性】:社内にIT専門部署がない中小企業にとって、何から手をつければよいか分からない状態のままでは、AI活用は進みにくいという課題があります。
「商品を送るたびに、ゼネコン名と現場名を書いた荷札を手作業で用意している」——建設資材を扱う現場では、こうした地道な事務作業が日々積み重なっています。
【Q】いま現場で起きている「中小製造業の事務作業改善」の変化とは?
大型建設現場向けの挟締金具で東京シェア約9割を持つ株式会社リキマン(本社:福岡県粕屋郡須惠町)は、2025年7月に株式会社Leachの「Leach 生成AI顧問」を導入しました。約8か月の利用を経て、荷札作成工数の90%削減などの成果が報告されています。
導入前は、検収書が手書きで運用されている拠点が多く、東京拠点だけで1日10件発生する検収書の処理に、写真の選別・添付を含めて多くの工数がかかっていました。また、IT機器の見積もりについて適正価格かどうかを判断する基準がなく、代理店から提示された金額をそのまま受け入れざるを得ない状況だったとされています。
【Q】導入すると現場はどう変わる?(具体的なメリット)
最も分かりやすい変化が荷札の作成です。これまでは基幹システムから出力したデータをExcelに手入力し、紙に印刷してハサミで切り、テープで商品にくくりつけるという流れでした。現在は基幹システムのCSVをGoogleスプレッドシートに貼り付け、GAS(Google Apps Script)で自動抽出してラベル屋に転記する流れに変わり、入社1か月の社員でも荷札を作成できるようになったとされています。この仕組みは全拠点に展開済みとのことです。
検収書については、Googleフォームを使った仕組みづくりが進められています。ボタン式で入力でき、現場で撮影した検収写真をそのままアップロードすれば検収書と紐づく構成です。フォームからスプレッドシート、Google Docsを経てDocx出力までをつなぐフローを構築中で、50〜60%の工数削減を見込んでいるとされています。
IT機器調達については、PC購入の見積もりについて型番や仕様面でより適切な選択肢があることが分かり、代理店との再交渉を経て約10万円のコスト削減につながったとされています。今後は見積書が届いた際に相談する体制が社内に作られているとのことです。
【独自考察】よくある失敗と「つまずきポイント」
今回の取り組みで注目したいのは、社内にAIへの不安の声があった点です。AIに対するリテラシーの差から、導入当初は周囲に不安があったものの、荷札の自動化など業務改善の成果が見えてきたことで、抵抗感が薄れていったとされています。小さな成功体験を積み重ねることが、社内の理解を広げる前提になっていたと読み取れます。
荷札の自動化の仕組みも、社内だけで検討していたら複雑な作りになっていた可能性があるとされており、外部からの「身近なツールで十分」という提案がきっかけになったとのことです。
また、IT機器調達のように専門知識が必要な場面では、判断基準を社内だけで持つことが難しい状況がありました。見積もりの妥当性を相談できる相手がいることが、交渉の根拠を持つことにつながったとされています。基幹システムのカスタマイズを進める会議でも、進め方についての改善提案を受けたことで、開発会社とのコミュニケーションがスムーズになったとのことです。
【Q】どこから始めればいい?(迷ったときの進め方)
まずは、次の順にチェックすると迷いにくいです。
1. 手作業に時間がかかっている事務作業を洗い出す:
荷札作成や検収書処理のように、毎日繰り返される作業から見直すことが、効果を実感しやすい第一歩になります。今回の事例でも、最初に荷札作成から着手しています。
2. 小さな成功体験を社内で共有する:
一度にすべてを変えようとせず、効果が見えやすい業務から始めて成果を共有することが、社内の不安を和らげることにつながります。
3. 専門知識が必要な判断は相談できる体制を作る:
IT機器調達やシステム開発のように、社内に判断基準がない領域では、相談できる相手がいることが交渉や意思決定の助けになります。
参考・関連リンク
1. 株式会社Leach:本取り組みに関するプレスリリース(PR TIMES)
株式会社Leach|プレスリリース(PR TIMES)
2. 株式会社Leach:リキマン導入事例
株式会社Leach|リキマン導入事例