月20アイテムの欠品はなぜ起きる——AI需要予測で発注を再構築

建設・住宅設備

【トレンド】:外装材専門メーカーの旭産業は、2026年5月からAI需要予測サービス「Deep Predictor」の運用を本社・大阪の2拠点で開始しました。

【メリット】:発注業務にかかる根拠を可視化し、属人化していた発注判断をデータドリブンに標準化することが期待されます。

【重要性】:発注業務の属人化や欠品と過剰在庫のバランスは、多くの製造業に共通する経営課題として位置づけられており、同社の取り組みは同様の悩みを持つ企業にとって参考になります。

発注担当が1人しかおらず、その人の経験と勘に発注量が左右されている——そんな体制に不安を感じたことはないでしょうか。

【Q】いま現場で起きている「発注業務」の変化とは?

旭産業株式会社(本社:埼玉県戸田市)は1976年の創業以来、断熱材保護カバーや化粧用外装材などを製造・販売してきた専門メーカーです。

同社常務取締役のコメントによれば、発注業務は1名体制で運用されており、発注作業には1回あたり3時間ほどかかっていたといいます。発注の考え方も担当者の経験に頼る部分が大きく、約1,055アイテムの取扱いのうち、毎月20アイテムほどの欠品が発生していたとしています。

経済産業省らの「ものづくり白書」でも、計画業務を担当者の経験則からデータドリブンな意思決定へ転換する必要性が示されています。あわせて、PwCコンサルティングの調査では、国内のサプライチェーン領域でAIを活用している企業は全体の25%にとどまるとの結果が出ており、属人的になりがちな業務へのAI活用は、道半ばの段階にあると指摘されています。

こうした状況を受け、旭産業は発注業務をAI需要予測で再構築するという判断のもと、Deep Predictorの導入を決めました。

【Q】導入すると現場はどう変わる?

旭産業は、外部要素を柔軟に選んで需要予測に取り入れられる点に着目し、同サービスの導入を決めました。過去の出荷・受注・在庫データなどをもとに品目ごとの需要を継続的に予測し、発注・在庫の適正化を支援する仕組みです。

今回の導入により、まずは欠品の減少と発注業務時間の短縮を目指しており、あわせて社内製造品の在庫管理の高度化や、属人化していた発注の考え方の統一にも取り組んでいく方針です。

現時点では本社・大阪の2拠点における運用が起点であり、効果検証を進めながら対象拠点や品目の拡大を検討していく段階です。

【独自考察】よくある失敗と「つまずきポイント」

需要予測サービスは、既存の業務フローや基幹システムとの連携を前提にした設計である点がポイントです。運用負担を抑えながら段階的に活用範囲を広げる設計になっており、いきなり全拠点・全品目に広げるのではなく、対象を絞って始めることが現実的といえそうです。

また、発注根拠を可視化できても、それを社内でどう共有し発注の考え方を統一していくかは、旭産業自身も今後の取り組みとして挙げている点です。

【Q】どこから始めればいい?

最初の一歩は、次の順で確認すると進めやすいです。

1. 発注業務の負荷を可視化: 発注作業に何人でどれくらいの時間がかかっているかを整理します。

2. 予測に使う要素の見極め: 自社の需要予測に効きそうな外部要素があるかを確認します。

3. 対象拠点・品目を絞って開始: 一部拠点や品目から運用を始め、効果を見ながら範囲を広げます。


参考・関連リンク

1. AI CROSS株式会社:旭産業株式会社へのAI需要予測サービス提供に関するプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000276.000021834.html

2. 経済産業省・厚生労働省・文部科学省:2025年版ものづくり白書
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/index.html

3. PwCコンサルティング合同会社:サプライチェーンにおけるAI活用実態調査(2025年11月)
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/ai-in-supply-chains-survey2025.html

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