記事の要点
【トレンド】:自動車部品の製造現場で、作業者の経験や感覚に依存してきた検査工程をAIで自動化する動きが出てきています。
【メリット】:AIによる自動検査により、検査精度の安定化と検査担当者の作業負荷の軽減を両立できたとされています。
【重要性】:現場主導でDXを進める体制づくりは、同様の検査課題を抱える製造現場にとって参考になりそうです。
「この程度のキズなら大丈夫か、それとも不良か」——そんな判断を目と経験だけで下し続けるのは、想像以上に体力を使う作業です。
【Q】いま現場で起きている「官能検査の属人化」の変化とは?
ダイハツ工業株式会社(本社:大阪府池田市、以下「ダイハツ」)は、現場主導のDX推進の取り組みとして、滋賀(竜王)工場 第1地区にAIを用いた自動車部品の品質検査システムを導入しました。
同工場のアルミ加工ラインでは、トランスミッション用部品の加工穴内部のキズなどを検査する工程があります。
0.1mm程度の差異が品質に影響するため、この検査は作業者の経験や感覚(官能)に大きく依存しており、目の酷使による身体的負担も大きい作業だったといいます。
加工製品のキズは種類や場所のばらつきが大きく、安定した判定精度を確保する手法もこれまで確立できていなかったとのことです。
【Q】導入すると現場はどう変わる?
ダイハツは、製造業向けAIソリューションを提供する株式会社VRAIN Solution(以下「VRAIN Solution」)と共同で、この検査工程にAI・画像認識などの技術を組み合わせたシステムを開発しました。
両社は本技術に関する特許を共同出願しています。
今回の取り組みにより、これまで人の目と感性に頼っていた検査工程を自動化し、検査精度の安定化と作業負荷の軽減を両立したとしています。
本システムは現在、滋賀(竜王)工場で稼働しており、同様の構造を持つアルミニウム製品への展開が可能とされ、今後は他の部品の検査工程への導入も予定されています。
ダイハツは、製造現場の従業員が自らAIツールを活用し実装まで行えるスキルの向上にも力を入れており、現場向けの学習プログラムを通じたDX人材の育成も進めています。
【独自考察】よくある失敗と「つまずきポイント」
官能検査をAIに置き換える取り組みでは、検査対象のばらつきの大きさが壁になりやすい点に注意が必要そうです。
今回のケースでも、加工製品のキズは種類や場所のばらつきが大きく、それが従来手法確立の難しさにつながっていたと説明されています。
この課題に対し、ダイハツは特定の検査工程だけで完結させるのではなく、VRAIN Solutionとの共同開発という形で技術を作り込み、まずは1つのラインで稼働させたうえで、同様の構造を持つ製品への展開を検討する進め方を取っています。
段階的に対象を広げる進め方は、他の現場にも参考になりそうです。
【Q】どこから始めればいい?
最初の一歩は、次の順で確認すると進めやすいです。
1. 経験や感覚に依存している検査工程を洗い出す
0.1mm単位のキズ判定など、作業者の感覚に大きく依存している検査がどこにあるかを整理します。
2. 検査対象のばらつきの傾向を把握する
キズの種類や発生場所のばらつきがどの程度あるかを確認し、AI導入で対応しやすい範囲かを見極めます。
3. まずは1ラインで稼働させ、展開範囲を検討する
ダイハツも第1地区での稼働を起点に、同様の構造を持つ製品への展開を検討しています。範囲を絞って始める進め方が参考になりそうです。
参考・関連リンク
1. ダイハツ工業株式会社:現場主導のDX推進の取り組みとして、AIを用いた自動車部品の品質検査を滋賀(竜王)工場に導入(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000392.000016361.html
2. ダイハツ工業株式会社:現場主導のDX推進の取り組みとして、AIを用いた自動車部品の品質検査を滋賀(竜王)工場に導入(ダイハツ公式)
https://www.daihatsu.com/jp/news/2026/20260622-1.html