外注頼みから脱却へ——創業50年のジャバラメーカーが生成AIで手に入れた「自分で判断する力」

その他製造業

記事の要点(3行まとめ)

【トレンド】:IT専任部門を持たない中小製造業が、実装を外注するのではなく「自社が判断できる状態をつくる」ことを目的に外部技術顧問を活用する事例が報告されています。

【メリット】:外部ベンダーの見積もりに第三者視点のレビューが加わることで、要件・工数・コストの妥当性を自社で判断できる軸が生まれ、発注リスクの低減につながると報告されています。

【重要性】:IT人材の採用が難しい中小製造業にとって、専門知見を「社員として抱える」のではなく「判断補助として借りる」という選択肢は、DXを前に進める現実的なアプローチとして整理されています。

創業50年を超えても、現場の技術力には自信がある。でも、ソフトウェア開発の話になると、見積もりが妥当かどうかすら判断できない——そんなもどかしさを抱えながら、外注を続けてきた製造業の担当者は少なくないはずです。

【Q】いま現場で起きている「IT部門ゼロの製造業のDX」の変化とは?

三重県伊賀市に本社を置く株式会社ナベル(創業1972年、従業員199名)は、カメラの蛇腹から始まり、現在は医療機器・航空宇宙・測定器向けのジャバラ製品を主力とする老舗メーカーです。近年はロボット状態監視サービス「Robot Insight」など、ソフトウェアを絡めた新規事業にも軸足を広げています。

新たな領域へ踏み出すなかで直面したのは、技術力でも資金でもない問題でした。「ベンダーから上がってくる見積もりが、妥当なのかどうか、社内で判断できる人間がいない」——この状況が、新規事業を進めるうえで見えない重荷になっていました。

そこでナベルが2025年10月に選んだのが、Leach株式会社(本社:東京都港区)の生成AI顧問です。大手コンサルに丸投げするのでも、IT人材を採用するのでもなく、「社内が自分で判断できる状態をつくる」ことを目的に、外部の技術知見を借りるという道を選びました。

【Q】導入すると現場はどう変わる?(具体的なメリット)

Leachがナベルに提供しているのは、大きく3つの支援です。Python勉強会、Robot InsightのAWSアーキテクチャに関する第三者レビュー、チャットによる即時技術相談——共通しているのは「実装を代わりにやる」ではなく「社内が自分で判断できる状態にする」という軸です。

手応えはすぐに出てきました。ある外部ベンダーへの発注案件を第三者の目で見直したことで、一部機能を社内エンジニアが内製化できる範囲が見えてきました。開発コストの大幅減額を見込む方向に見直しが進んでいます。なお、この案件は現在も開発進行中であり、確定した削減実績ではないことが明示されています。

当初から課題に挙がっていた注文書関連の自動化も、LeachのSaaSプロダクト「突合.com」を活用して運用が回り始めたと報告されています。小さな成果が積み上がることで、社内の信頼と活用意欲が育っていく構図が見えます。

【独自考察】よくある失敗と「つまずきポイント」

ナベルがLeachを選んだ際、大手コンサルやSIerへの全面委託ではなく月額制の顧問という形を取った背景には、はっきりした理由があります。「外部に丸投げするのではなく、社内人材を育てながら進めたい」という経営方針です。つまり、外部顧問に何を求めるかを最初に決めていた。

この判断は、社内の実態とも整合しています。現状、実装を主に担っているのは1名という体制です。その担当者が問題にぶつかったとき、すぐ相談できる外部の窓口があることが、属人化リスクを分散させる仕組みとして機能しています。

そしてナベルの事例が示す、より深い課題があります。コードはAIで補える時代になっても、何を作るべきかを言語化する力——要件定義の力がなければ、外注依存からは抜け出せない。ものづくりの現場で次に育てるべきスキルが、ここにあります。

【Q】どこから始めればいい?(迷ったときの進め方)

まずは、次の順にチェックすると迷いにくいです。

1. 「判断できていない」領域を特定する:
見積もり・要件・コスト・セキュリティのうち、社内で妥当性を判断できていない領域はどこかを確認します。この事例ではソフト見積もりの妥当性がスタート地点でした。

2. 「実装代行」か「判断補助」かを先に決める:
外部に何を求めるかで、相手の選び方と関わり方が変わります。「作ってもらう」と「判断できるようにしてもらう」は、似ているようで目指す状態がまったく異なります。

3. まず一つの案件で試す:
全体を動かす前に、特定の案件で第三者レビューを受けてみる。そこで得た「物差し」が、次の発注判断から使えるようになります。小さく始めることが、判断力を育てる最短ルートです。


参考・関連リンク

1. Leach株式会社:ナベルとの導入事例
Leach株式会社|導入事例

2. Leach株式会社:プレスリリース
Leach株式会社|プレスリリース(PR TIMES)

3. Leach株式会社:生成AI顧問サービス公式サイト
Leach株式会社

4. 株式会社ナベル:公式サイト
株式会社ナベル

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